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歴史的経緯によりこのメソッドはモテない (PHPカンファレンス感想)

10月3日に行われたPHPカンファレンス2015に行ってきました。で、いいかげん蒲田グルメレポート「みんなPHPカンファレンスに行くべき、なぜならメシが美味いから」とか書かなきゃと思っていたけど、変えることにします。

スライド公開後、残念ながらとても悪い評価を集めてしまったものがありました。

PHPer女子が語る2015!こんなコードを書くヒトはモテない〜コラボ編〜@PHPカンファレンス2015 #phpcon2015

自分も、他に素晴らしい話が数多く出た中、申し訳ないけど自分の中で上位には入らないなとは思う発表でした。ただまあ、経験を積んでいってくださいというだけで、そこまで問題視すべきことじゃないと思っていました。

が、あまりにもあまりにも... 面白くないならスルーでいいのに、なんでわざわざ食ってかかるかなぁ、って Twitter を眺めてて... 当事者にとってすらそこまで必要ない勝手なアレかもしれませんが、いま蒲田グルメよりこっちの気持ちのほうが大きいので。

というわけで、モテの歴史的経緯からきちんと分析してみたいと思います。

「モテる」ネタのカンブリア爆発

オムライスが食べられない女、おぼえていますか。モテる技術ネタの第一次ブームはそこにさかのぼります。

youpouch.com

この記事は大ブームとなり、さまざまなパロディが作られました。

4年前、みんな若かったのかな...

当時はパロディーで、モテるという謎の価値観を積極的に否定してウケをねらうものでした。

当事者たちはすぐに飽きてやめてしまったけれど、この影響はあとでじわじわ効いてきます。

図らずも「モテる」が定着

何かと「モテる」を使って、まだ自分の技術をやっていないエンジニアに対する煽りを交えたタイトルが出現しはじめます。

オムライス以前から時代を先取ってきたのもありますね。

まあこのあたりは、モテるモテないといったユルいタイトルに反して、そこそこハードな内容を出すという、ギャップを楽しむものでした。

ソーシャルに浸透

そうこうしているうち、どの言語を使えばモテるといった言い方で、自分のいる泥くさい現場に比べて華やかな技術はうらやましい、不純な理由をつけてでも別の技術を学ぶモチベーションを持ちたいといった気持ちを、個人個人が個別に発するようになっています。「〇〇を使えばモテる」と。

そういうおふざけを、みんなやっているわかりやすいプロトコルとして、いわゆる非モテとセットで連想されがちなエンジニア界隈が受け入れてしまった。

といっても、それがまだ明らかに冗談であるとわかる関連付けであるうちはまだ、ギリでセンシティブな問題とは言えなかった。

池澤あやか / いけあや on Twitter: "私もRubyでモテる女子を目指します。RT @endoyuma: Rubyをやるとモテるよ!逆にRubyをやっててもモテないエンジニアはもうダメだよ!って言われたから俺はまだ成長の余地を残している"

なにか様子が変わってきます。

仮想概念「モテる」のリアリティ

まったくの男性社会、むしろ異性なんて興味ない、と言える技術の畑だからと、言う方がだんだん麻痺してしまうと、そこに接しているそれほどでもない世界に影響を与えてしまいます。

遠くの島にCSS Niteが見えます。その一つ手前にはWordCampがあります。さてそこまで来ればPHPカンファレンスは同じ会場です。

そういう意味で、プログラム言語の中でもPHPJavaScriptには、まったく色気のない安心できる世界よりはまだ、いわゆるリア充との接点が広い文化がありました。PHPはとても大きなグラデーションで、場合によって明らかに冗談なものが、ふとしたひょうしに現実になってしまいます。

そうして、身内として過去の文脈を共有しない人にまで広がると、意味の拡大解釈が起こっても不思議ではありません。イケメンや壁ドンと同じです。モテるが100%冗談と言えなくなってしまう。まだまだネタ扱いとはいえ、モテがずいぶんと現実の側に歩み寄ってきました。

それで初心者はROMっとけはどうなのか

たしかに、空気よめない「モテる」はちょっと変な感じです。でも、これまでの歴史的経緯を知る人が、経緯も知らずに使う素人は何も言うな、というのは「初心者はROMっとけ」というのと同じです。これマサカリの中でもいちばんタチがわるいやつですね。

まあもういいかげん、ポリティカルコレクトネスがどうとか、何度かの炎上で痛い目見たとか、ドラ娘がいなくなったとか、いろいろあっておじさん連中は疲れていて、以前良かったことも今はとにかくタブーだからダメダメダメダメってなっています。けどそんなの知らない子だっているんですよね... 新しい人に対してもっともオープンなコミュニティだからこその話。

モテないはセクハラなのか?

中には「モテない」が主題になってしまったスライドを見て、セクハラだとツイートする人もいます。けれどちょっと待って下さい、セクハラというのは、たんに異性間トラブルというだけでなく、その根底には、マジョリティの無神経という本質があるものです。

そもそも、大きく男女に分けると、みなさんのいるエンジニア界隈はやはり男性がマジョリティです。男女の強弱関係ははっきりしています。

マイノリティである女性が、より強い立場の男性に対してセクハラというのは少しおかしいように思います。恋愛でいえば女性がマジョリティになることもあります。その文脈でモテないと言われれば、それは、恋愛マイノリティへの攻撃になると、みなさん肌感覚でなんとなくわかるでしょう。けれど...

それみたことかやっぱり女だ、それみたことかやっぱりPHPだ、と、スクリーンの向こうに人間がいることを忘れて、自己の承認要求を満たすために弱い方の過ちをネットで責めようとする気持ち。そのほうがむしろ、構造的にみて、ハラスメントとされる現象になります。(もちろん、適切な批判なり個人としての好き嫌いをツイートするのはこれに含みません)

マジョリティであるがゆえに、マイノリティに対するその力の大きさを自覚しなければと、自分も男性としてそう思います。

何がいけないのかポイント抽出

1

女が男をばかにした、として不愉快に思う人がいました。が、その不愉快さは、ハラスメント問題ではなく、あれよあれよと「のび太のくせに生意気だ」という暴力になりかねません。こうなることを予想して、弱者になりうる仲間を守っておく知恵が働かなかったことが残念でした。

2

「モテない」なんて言ってもそれがただの煽り脚色となるような、濃いギャップのある内容であればまだ救われました。その意味で、2014年のものは結論があったけれど、2015年バージョンは本当に言いたいことが抜けていました。お祭りを盛り上げたいと「モテネタでまたやってよ」に応えることを目的化してしまい、それを大真面目にやってしまった。自分の中の、エンジニアとしての本当の目的を忘れていたのではないかと思います。人のためにがんばりすぎやねん。

3

よくある悪ノリと同じとは言えなくなる要因がもう1つありました。LTのタイトルとして公式にパンフレットに刷り込まれていて、スポンサー企業とのコラボ企画であったこと。公式、つまりその場を仕切っている最強のマジョリティが認めたことになってしまった。こうなると、外から見たとき、ハラスメントのマジョリティー/マイノリティー関係が逆転する可能性があります。

とはいえ

エンジニアはイベントのプロではないのです。世代交代しながらイベント運営のクオリティを維持していくのは、本当に難しいです。その点は、自分も関西カンファレンスの人として、痛感します。

仲間としてぶっちゃけた気持ちを言うなら、これまだ、当日参加している人が言うならいいのですが、参加せずわかったような批判をする人には「まあ落ち着けや、おまえらPHPerちゃうし直接関係ないやろ」と。みなさん、本当の問題じゃないことを、さも問題ありかのように騒いで、楽しんでんじゃないかって感じの上司/代理店/顧客の姿を思い出してください。

どうでもいいことがふくらみましたが、ホントに言いたい社会的な視点に話を戻すと、ようは、おまえらが作ってきた道なんだから、若者が通ってしまうのは仕方ないだろ、知らんならROMっとけってのは、マサカリじゃなくて老害って言うんだぜ。ダメって言うなら歴史を検証してちゃんと伝えてあげる人が一人ぐらいいたっていいんじゃない。

今後どうすればいいか

モテで煽ったわりに面白くなかったことが良くなかったと思うので、いちばん足りていないのはおそらく登壇者のお笑いのスキルでしょう。スキルアップのために、ぜひPHPカンファレンス関西に勉強しに来てください。

な、おっちゃんモテそうやろ。

↑ お笑いのスキル