なぜ『PHPエンジニア養成読本』はAmazon部門ランキングでトップを取るのか

またしても釣りっぽいタイトルをつけてしまいました。ご無沙汰しております。

PHPMatsuri 2013の参加レポートも書かずに何をやっていたのかというと、実は本の執筆に参加させて頂いており、ちょうどその頃忙しすぎて忘れていました。こんな本です。

PHPエンジニア養成読本 〔現場で役立つイマドキ開発ノウハウ満載! 〕 (Software Design plus)

PHPエンジニア養成読本 〔現場で役立つイマドキ開発ノウハウ満載! 〕 (Software Design plus)

その名も「PHPエンジニア養成読本」。担当させてもらったのは、注目のフレームワークPHPUnit、Gitといった内容です。詳しい内容は先に書かれているエントリご覧ください。

ようやく書影が定まり、こんな感じで本日(2013/8/27 ...あ、日付変わってるか)より告知スタートしています。で...

告知されるやいなや、なんとみるみるうちにAmazonのWeb開発書籍ランキングでトップに躍り出ました。

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なんということでしょう。まだ予約しかできない段階だし「ナカ見」とかもないんですよ。

そしてさらに、書籍全体ランキングで『連続テレビ小説あまちゃん Part2 (NHKドラマ・ガイド)』と競うとかもう。

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まあ、これは瞬間最大風速的なデータなのかもしれませんが、それでも、表紙や章立てしかわからないのにすぐに購入予約してくださる方がこんなに多いのって、すごくないですか。ありがとうございますありがとうございます。

ちょっと執筆参加したというのは抜きにして、本当に、なぜこの本がこんなに上がるんだろうということに思いを馳せてみました。

いまPHPの世界には、すごく大きな変化が訪れています。でも、その変化がずっと連続していて、これまでなかなか一冊の本にまとめられるタイミングがなかった状況が続いていたんじゃないかと思います。

PHPで仕事をしている人は数多くおられると思います。みなさん、毎日忙しく働いているいっぽうで、Twitterやブログであれこれと新しい技術の名前が流れてきたり、あんな勉強会に行ったこんな勉強会に行ったと羨ましい話を聞いたり。本当は全部試したいけれど、とてもじゃないがそんな時間はないという方が大多数なんじゃないでしょうか。

最近はアジャイルな空気が出てきて、J2EEの大型開発案件よりも、PHPを使った小さなツールを素早く作るような仕事が増えて、JavaプログラマPHP流入も多いと聞きます。Javaの人からすれば、「Mavenはないのか」「コーディング規約どうなってる」「PHPでいうJUnitとかEclipseとかはどんな感じなのか」というもやもやも多いでしょう。

また、新しい技術はいつも英語で発信されます。「エンジニアたるもの英語のひとつも読めなければ」と言うのは簡単ですが、現実には、読もうと思って開いたページの英語は読めても、英語で書かれた情報の海にアンテナを張ることができる日本人は、かなり限られると思います。

これまで、入門者を対象にしたPHPの本は繰り返し出版されてきました。また、ひとつのフレームワークに特化して深く内容を掘り下げる本もいくつか出版されています。しかし、 パーフェクトPHP 以降、すでに入門を終えていてもっと成長したいのに、と感じているエンジニアに、PHPの文化を広く俯瞰できるような内容の本が提供されて来なかったんじゃないでしょうか。

それは、ライブラリやサービスの新バージョンがそれぞれ非同期にかつ継続的にリリースされ続け、一冊の本として書けるほど安定していなかったからではないかと思います。

そんな状況で、「ムック本だから執筆時点のスナップショットでいい」と割りきって紙にしてしまおうという方針が、もやもやしていたPHPerのハートを直撃したんじゃないかと思います。読者としては、こんなコンセプトの本は他にない、だから選ぶ余地なく予約しよう、ってことなのかなと。

執筆のキックオフ・ミーティング前後で「他の本で取り上げられていなかったことをやろう」と話していたのが結果につながったのなら幸いです。

ムック本なので個々の記事のボリュームには限度があるけれど、英語だったり散発的に聞きかじったりしているあれやこれの最初のアンテナとして、たしかにすごくリーズナブルな一冊かも、と、執筆していなかったら自分も予約していただろうと思いました。

この本はこんな方にお勧めです:

  • 以前からPHPを使った開発をしているけれど、よりモダンなPHPを目指したい設計者
  • PHPのバージョンを上げたはいいけど、それでどんな機能が使えるのか自覚していなかった人
  • フレームワークやライブラリなど、話題の技術の最初の一歩でどれをやったらいいか迷っている人
  • 本当にPHPを使い込んでいる人が技術のどの部分に注目するのか、気になる人
  • どこから試していいのか、どれぐらいお金がかかるのかわからず、クラウドに手を出せなかった人
  • モダンPHPに関係するキーワードが拾えていなくて一気に仕入れたい人

実際は使われていたり機能が良かったりするのに、これまでほとんど紙媒体に掲載されることがなかったキーワードをじゃんじゃん載せているのは本当です。これはすごくオススメポイント。

あと、共同執筆のムック本では珍しいと思うんですが、執筆者の多くが直接顔を合わせ、互いに内容をレビューし合って書かれていて、書籍としての一貫性や各章の関連性がわりと強い感じです。なので個人的には、いろんなことを知れる本であると同時に、一冊の本としてPHPで起こっている一本の大きな潮流を表現できていたらなぁと願っています。

最後になりますが、こんな素晴らしいプロジェクトに誘ってくださって、関係者の皆様本当にありがとうございます。この二ヶ月はとても貴重な体験でした。

p.s.

PHPカンファレンス東京へ行かれる方は、Amazonの予約で1冊、PHPカンファレンス会場でもう1冊買うのをオススメします。発売日が9/13なので、9/14日のカンファレンスの時点で入手できていない可能性があります。2冊も買うのかと思うかもしれませんが、1冊は自宅用で、もう1冊は布教用です。職場で回覧して「導入しましょう!!」ってやるためのやつです。なので会社名で領収書を切っておきましょう。